読書記録の消化が続きます。
「反省させると犯罪者になります」発売されて話題になったころに買って読んでいて、再読です。「ルポ 死刑」からのつながりで読んだのだと思う。
アフィリエイトリンクです。
https://amzn.to/42aV8xF
過激なタイトルですが、言っていることは、
- 犯罪を犯した人を「反省」させようと反省文とか書かせたところで、人間、そんなにすぐに「反省」できるものではない。
- そんな状態で無理に「反省」させたところで抑圧を産むばかりであり、その抑圧が爆発すると再犯につながる。
ということで、話としては理解できます。
では、どうすればいいのか。
それでは、どうすればいいのでしょうか。方法は一つしかありません。反省させてはいけないのです。被害者に対して不満があるのであれば、まずはその不満を語らせるのです。不満を語るなかで、なぜ殺害しなければならなかったのか、自分自身にどういった内面の問題があるのかが少しずつみえてきます。一見、非常識なことをしていると受け止められるかもしれませんが、本音を語らないかぎり、受刑者は自分の内面と向き合うことはできません。
加害者は加害者で被害者に対して何らかの不満を持っていたわけであり(それがいかに身勝手なものであろうと)、まずそれを語らせて加害者自身の問題を明らかにする必要がある、とのことです。全員が全員ではないのでしょうが、犯罪を犯すような人はたいてい子どものころから抑圧され続けている。
犯罪者は人の何倍も我慢を積み重ねてきた人なのです。
どうもさすがに「ちょっと加害者に甘すぎないか?」と思ってしまいますが、著者は長年犯罪者の更生支援をしてきた人なので、これが実感なのでしょう。再犯されると次に被害を受けるのは我々かもしれませんし。
札幌少年鑑別所で行われた研究で、『鑑別所に入所している少年に対して、「迷惑をかけた人リスト」を作って、「迷惑をかけた人」に対して手紙を書かせようという主旨の研究』があったそうです。
研究結果をみると、「迷惑をかけた人リスト」の上位に被害者を記した者は少なく、「予想外であったが約8割の少年は、被害者よりも父母や友人を上位に挙げている(傍点筆者)」と記されています。
この研究について、筆者は『研究を実施した矢ヶ﨑らは「予想外」と書いていますが、予想外ではありません。当然の結果です。』と批判します。さらに続いて、
もう一言、この研究に苦言を呈します。考察の続きで矢ヶ﨑らは「少年院で教育を受けた少年とそうでない少年のロールレタリングを比べると、前者のロールレタリングは、文章としての水準、被害者への関心のいずれも高い」と述べ、少年院入院歴のある者の方が「被害者に迷惑をかけたことをすぐに自覚できるのであろう」と指摘しています。 「見当違いもはなはだしい」と言わないではいられません。少年院入院歴のある者は、何度も少年院で指導を受けているので、皮肉なことに「反省文」を書くことに慣れている場合が多いのです。読み手が評価する文章を心得ている少年もいます。こうした少年の心理に指導者が気づいていないことを私は案じます。
少年院経験者は「反省の技術」がうまくなる、というのはこの節のタイトルにもなっています。
殺人を犯したのであるから、加害者である受刑者に、命を奪われた被害者の無念な思いや残された被害者遺族の気持ちを深く考えさせ、自分が被害者にいかにひどいことをしたのかを考えさせて反省させることは有効かつ必要な方法であると考えられるでしょう。ところが、この方法は、「正攻法」に思えますが、思ったような効果が得られていないのが実情です。
(中略>
次に、統計を用いた量的な研究結果を紹介しましょう。刑事政策を含む社会政策に関する国際的な評価研究プロジェクトであるキャンベル共同計画によると、被害者の心情を理解させるプログラムは、驚くべきことに、再犯を防止するどころか、「再犯を促進させる可能性がある」という結果を報告しています
この研究に携わっている浜井浩一は、あくまでも「仮説であるが」と断ったうえで、再犯を促進する理由として「被害者の心情を理解させることは、ある意味では彼らがいかに社会的に非難されることをしたのかを理解させることであり、自己イメージを低めさせ、心に大きな重荷を背負わせることになる。被害者が死亡している場合には、被害者の心情を本当に理解できれば、自然と『自分だけ生きていていいのか?』と思うはずである。/犯罪者に限らず、その状態で生き続けるのは苦しいはずである。このプログラムは、ある意味では、社会での生きにくさを増加させることにつながってしまい、社会不適応を促進しているのかもしれない」
「いきなり反省しろと言っても無理だ」という主張はわかるとして、では時間をかけて自分が犯した罪を反省させるのかというと、そうすると「社会での生きにくさを増加させることにつながってしまい、社会不適応を促進」するのなら救いがない。
まあいずれにせよ、現状の刑務所は、犯罪者に罪を反省させたり、再犯を防止したりするには向いていない環境であるらしい。まあ犯罪者に囲まれてちゃ更生もしないよな。
また、無期懲役の刑を受けて仮釈放された金原龍一も「私がこれまで見続けてきた殺人事件の犯人のなかで、常時被害者のことを思い、1日たりとも欠かさず反省し続けているような受刑者は皆無に等しかったと思います。むしろ『被害者に対して申し訳ない』などと言えば、『それがどうした』『何を言っとる、もうしゃあないやろ』『仮釈が欲しいんか』と、同囚から奇異の目で見られ、反発されるのがオチです」
この記事へのコメント:
コメントを書く
名前: