ちょっとは追いついてきたかな。
今回は2冊紹介します。1冊目は「自閉症は津軽弁を話さない」。
何年か前にネットで話題になっていたのをようやく読みました。
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青森県津軽地域で乳幼児健診に長年かかわっているという奥様の
『あのさぁ、自閉症の子どもって津軽弁しゃべんねっきゃ(話さないよねぇ)』
という言葉を発端に、10年かけて、自閉症の子どもが本当に津軽弁(方言)を話さないこと、およびその理由を解明していく、という話です。
自閉症とはそもそもどんな症状なのか、という点について、この本でも紹介されている「サリーとアンの課題」という実験があります。引用します。
『まず被験者は、サリーとアンという名のついた人形をみせられます。
サリーは、ビー玉をバスケットに入れた後(部屋から)いなくなります。サリーがいないあいだに、いたずらもののアンはビー玉をバスケットから取り出して別の箱のなかに入れて、その場を離れてしまいます。
その後、サリーが戻ってきました。
ここまでの場面を被験者にみせます。そして「サリーはビー玉を取り出そうとして、どこを捜すでしょうか」という質問をします。
(中略)
3歳~5歳の健常児では85%が正答しました。また精神年齢が自閉症児より低いダウン症児の86%も正解しました。つまり、サリーの信念を推測することができました。一方、4歳を超えた20名の自閉症児のうち正答したのは4名だけでした。』
「自閉症は人の心がわからない」と言ってしまうと、なんだか身勝手な奴だと責めているように聞こえますが、そういう問題ではなく脳の機能として「他人の心がわからない」のが自閉症という症状です。
この本では「自閉症は津軽弁を話さない」理由をふたつ挙げていて、
ひとつめは、方言主流社会においては、方言の使用は相手と自分との距離が近しいものであることを示す機能があるが、自閉症は社会性の障害を主障害とするので、そういう機能が理解できないのではないか、という点、
ふたつめは、自閉症児はアニメやビデオから言葉を覚える傾向がある、という点(その理由はいろいろあるので詳しくは本を読んでください)
関係ないですが、私は愛知県内出身で名古屋の大学に行き今も名古屋で会社員してますが、大学入って以降、ほとんど名古屋弁を聞きません。上に「方言主流社会」という言葉がありますが、名古屋では、大学行くような層では、方言は主流ではないようです。関西出身の連中は、名古屋に来ても関西弁しゃべっているのとは対照的です。
次。「知ってるつもり 無知の科学」
表紙に自転車の絵がありますが、これはこの一部欠けた自転車の絵に、足りないところを描き足してください、という課題を出した時、多くの人はちゃんと描けない、という話です。例として挙げられているのがこれ。
私は自転車乗ってるので、いくらなんでもこれは正答できます。元の図にはチェーンステーとダウンチューブとシートチューブとチェーンリングとスプロケとチェーンとクランクとべダルが足りてない。まあこの図を使った研究によれば
『ローソンの研究では、被験者のほぼ半分が、図を正しく描きあげることができなかった 』
とのことなので、逆に言えば半分は正答できたのでしょう。
『被験者の多くが、チェーンを前輪と後輪の両方にかかるように巻いている図を選んだが、実際にはそれでは自転車は曲がることができない。』
「被験者の多く」って、割合は? と思いますが、そういうことが書いてないんだよなあこの本。
本書によれば、多くの人は、(自転車さておき)多くの科学技術等について「知ってるつもり」になっているが、実際にはその知識は他人の頭の中にしかなく、個々人はほとんどのことを知らない、とのことです。私だってこうしてブログを書いていてますが、その過程で以下のものを使っています。
・このブログのプログラム(自作)
・サーブレットコンテナTomcat
・データベースプログラム(PostgreSQL)
・プログラミング言語(Java)
・OS(サーバではLinux)
・このサーバはVPS(Virtual Private Server)なので仮想化基盤
・CPUとかネットワークとかのハードウエア
ブログシステムは自作ですが、サーブレットコンテナは自作したこともありますが、Javaレベルのプログラミング言語も作ったことはありますが、データベースは(このブログを動かすのに必要な程度のものであれば)頑張れば作れるかもしれませんが、OSはもっと頑張ればしょぼいのなら作れるかもしれませんが、そこから下は手が出ません。
それ自体は悪いことだとは思いません。わかってないのに「知ってるつもり」になっていることはかっこわるいことかもしれませんが、すべてのことを個人が知ることはできない以上、知らないことは他人に任せておくことも必要です。
ただ、本書の後半では、政治についても同じことが言えることが示されています。
オバマケアについての最高裁判決に関するアンケートの話。
『つまり回答者の七六%が最高裁判決に賛成か反対か明確に答えたにもかかわらず、そもそもの判決の内容をわかっていたのは全体の五五%にすぎないということだ。』
民主主義はこういう有権者に動かされている(当然私もそのひとり)というのは心に留めておくべきであるように思います。
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