たまっている読書記録を消化していきます。これは再読。テッド・チャンのSF中編集「あなたの人生の物語」。
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この表紙は映画化された後のもので、この浮かんでいる巨大な「ばかうけ」みたいなのも映画版の映像です。原作ではこれは姿見(ルッキンググラス)と呼ばれているのでこんな形ではないのだと思います。
私はこの本をおそらく2007年頃に紙の文庫本で買ってひととおり読んで、その後2016年に邦題「メッセージ」として映画化されたときに、映画を観た後Kindleで買いなおして、その時はおそらく映画化された表題作「あなたの人生の物語」だけを読み返したのだと思います。で、今回一通り読み返したのですが、内容はすっかり忘れていた。
収録作は以下。
- バビロンの塔
- 理解
- ゼロで割る
- あなたの人生の物語
- 七十二文字
- 人類科学の進化
- 地獄とは神の不在なり
- 顔の美醜について
「バビロンの塔」は天動説が正しい世界でバベルの塔を登る話です。塔は空の「天井」まで届いているので、てっぺんまで上る途中には月の軌道や太陽の軌道の高さも越える。「七十二文字」はゴーレムが動いて「前生説」が正しい世界の話。「前生説」というのは人間の胎児は父親の精子の中に最初から出来上がっている、という説で、オランダの科学者ニコラス・ハルトゼーカーが描いたこんな精子のスケッチ※1が有名です。
画像はWikipediaから。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%89%8D%E6%88%90%E8%AA%AC
この胎児の精巣にはさらに小さな胎児が入った精子が(大量に)蓄えられている、というのが前生説です。キリスト教の世界では地球の歴史はずっと短かったとはいえ、よくこんなの信じられたものだ。
「地獄とは神の不在なり」は天使が本当に降臨する世界の話です。天使の降臨は実質災害のようなもので、そのたびに何人も死者が出る。
どの作品も、SFらしい「if」の世界で、世界観はとても練り上げられていて、わくわくしながら読んでいくと大きなオチもなくするっと終わってしまう話が多いという印象。宗教がかった話が多いですが、作者自身は無神論者だそうです。
いちばん有名なのは表題作で映画化もされた「あなたの人生の物語」でしょう。amazon primeで無料だったので映画も見返してみました。
映画を観た時も思ったのですが、時系列がいろいろ前後している映画で、ひとりの女優さんに若いころの役と子どもができたあとの役を両方やらせると、前後関係がよくわからなくて混乱します。原作を読んでいても混乱するぐらいだから映画だけ見た人はもっとわからなかったんじゃないかな※2。
- ※1確か高校生の時生物の先生にこれを見せられて、「思い込んでいるとこんなのが見えるんですねえ」と言われた記憶がありますが、ハルトゼーカー自身は『彼は受胎に関する自身の「精子説」の一環としてその存在を仮定したに過ぎず、実際にそれらを目撃したと主張したことは一度もなかった。』(However, he only postulated their existence as part of his spermist theory of conception and never claimed to have seen them.)らしい。Wikipediaより
- ※2原作だと娘が25くらいまで成長しますが、映画だとそこまでは行ってない感じ。
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