K.Maebashi's blog

最近の読書「イスラム飲酒紀行」


前回「これについてはまた今度。」と書いた「イスラム飲酒紀行」、読了しました。

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前回ちょっと書きましたが、著者の高野秀行さんは、ミャンマーでアヘンを作っている村に7か月住み込んで、ケシの栽培や収穫を体験する、というノンフィクションを書いています。ご本人もアヘンを試して、しっかり中毒になっています。
で、本書によれば、
『私は酒飲みである。休肝日はまだない。
本格的に酒を飲み出したのは意外に遅く、三十歳を過ぎてから。
ゴールデントライアングルの核心部で取材中、うっかりアヘン中毒になってしまい、それから脱出するため、つまり禁断症状を耐えるために酒をのべつまくなしに飲むようになった。
結婚してからは、昼間から飲むのを妻に禁じられ、アル中状態からは立ち直ったが、妻もけっこうな酒好きのため、アル中一歩手前でとどまったままだ。』

とのこと。その高野さんはイスラム圏にもよく行かれるようですが、ご存じの通りイスラム教では飲酒が禁じられている。そんな中で酒を求めて彷徨う、という本です。なぜか横書き。

イスラム教では酒が禁止されていると言っても、外国人向けのレストランとかでは飲めたりもするのですが、そういう場所ではなくて地元の人たちと楽しく飲みたい、とのこと。『イスラム圏ではいつも「酒を求めれば求めるほど現地から離れる」という法則に悩まされる。』そうです。

この本ではパキスタンやらアフガニスタンやら、チュニジアとかイランとか、あちこちの国に行きますが、最終的にはどこでも酒にありついています。いくら教義で禁止したって人のいるところ、酒はある、ということですかね。

そういえば、25年ほど前東京は小竹向原に住んでいた頃、近くにモロッコ料理店がありました。そこのご主人はムスリムなんですが、当時は普通にビール飲んでた。10年以上後に再訪したらもうやめたとのことでしたけど。25年前はお店の開店当初で、経済的には苦しくて時々道路工事のアルバイトとかにも行っていたようなので、飲まなきゃやってられなかった、のかもしれません。

『「オレの家は貧しい。テレビも車もない。でもこれを飲めば世界は美しい。おー、ビューティフル・ワールド!」とわめいた。不覚にもうるっと来てしまう。人間がなぜ酒を飲むのかという核心をついていたからだ。 』

「愛すべき酔っ払い」なんてイメージは酒飲みの勝手な言い草に過ぎず、酔っ払いなんてたいがいは迷惑なものだし、酒なんて飲まなければ飲まないに越したことはない、ということは私自身身をもってよーく知っているんですが、それでも、本書には、著者の高野さんふくめ「愛すべき酔っ払い」がたくさん登場します。

ところで本書で言及されていた「トルコ建国の祖であるアタテュルクは大酒飲みだった」という話、どんな感じだったのかなとWikipediaでも見てみました。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A0%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%95%E3%82%A1%E3%83%BB%E3%82%B1%E3%83%9E%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%82%A2%E3%82%BF%E3%83%86%E3%83%A5%E3%83%AB%E3%82%AF

『1938年11月10日、イスタンブール滞在中、執務室のあったドルマバフチェ宮殿で死亡した。死因は肝硬変と診断され、激務と過度の飲酒が原因とされている。ムスタファ・ケマルは、生前、医者に「肝硬変はラクのためではない」と診断書を書かせようとしたが、純エタノールにして毎晩500ミリリットルは呑んでいたと言われ、明らかに死因の一部である。』

「純エタノールにして毎晩500ミリリットル」って、普通に致死量越えでは……


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