K.Maebashi's blog

最近の読書「語学の天才まで1億光年」


例によって高野秀行さんの本です。

ここでは何度も取り上げていますが、高野秀行さんは学生時代ネッシーみたいな怪物「ムベンベ」を探しにコンゴに行ったり、その後ミヤンマーの「ワ州」というところに行ってアヘン作りを手伝ったりしています。学生時代のムベンベ探索の時点で、英語とフランス語とリンガラ語(コンゴあたりで使われているアフリカの共通語)を話し、現地では現地人が使っているボミタバ語も多少話せるようになっています。英語ひとつに四苦八苦している私などからすれば語学の天才に見えます。実際、「幻獣ムベンベを追え」には、一緒に行った方(当時社会人、サラリーマンを辞めてコンゴに行った)の感想として

長年の夢であったコンゴのフィールドに立てたことは早大探検部と特に高野秀行君の卓越した語学力、交渉力のおかげと深く感謝している。

と書いてあるのでやっぱり語学力は卓越しているのでしょう。

そんな高野さんの語学学習遍歴を書いた本が本書「語学の天才まで1億光年」。

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高野さんの語学学習遍歴を書いた本、であって、いわゆる普通の「語学の勉強法」が書かれた本ではありません。

本書によれば、まず高野さんが早大探検部に入って最初に行ったのがインド(探検部の活動として「海外一人旅」があるらしい)。インドなので英語を話すわけですが、最初は相手が言っていることが何一つわからなかったのが※1、『英語の会話力は一カ月で見違えるほど上がった。』とのこと。インドでの英語について書かれた部分を以下引用。

学校の英語とちがい、本番の英会話に初めて挑んで、なによりもありがたくて、意外だったのは、会話の際、相手が助けてくれることだった。
(中略>
コミュニケーションは協働作業なのである。自分一人で会話するということはない。必ず相手がおり、その相手はたいていの場合、コミュニケーションを成立させるためにこちらに協力してくれる。

わかる(だから、カタコトで会話は何とかなっても、飛行機や電車の中でのアナウンスはさっぱり聞き取れなかったりするのですが)。

その後、ムベンベ探しにコンゴに行くために、フランス語とリンガラ語を習得します。
フランス語は、電車でたまたま隣り合わせたフランス人女性シルヴィさんに頼んで1時間3000円払って個人授業で教わった(なんだそりゃ)。リンガラ語は誰かが『チベット文化研究所の講座か何か』でたまたま知り合ったザイール人のウィリー君に教わった。どちらもそれほど長期間続けたわけではないようです。

ウィリーによる授業は全部で十回もなかったと思う。

と書いてあるし。

それでも今後では役人とかとはフランス語でやり取りし、現地の人たちとはリンガラ語で会話しておおいに受けた(外国人でリンガラ語を覚えてくる人はかなり珍しいらしい)とのことなので、たいしたものです。

その後、英語とフランス語の(文章の)翻訳をバイトでやっていたらなぜかイタリア語の医学論文を訳すことになったり、アマゾンに行くためにスペイン語を覚えたり、ブラジルに行くためにポルトガル語を覚えたりした後、『タイ北部のチェンマイ大学で日本語講師の口がある』とことでタイ語を覚えています。ただし、

チェンマイで第二の青春を謳歌していた私だが、このまま日本語教師に落ち着くつもりは毛頭なかった。実はチェンマイに来る前からひじょうに明確な目標があったのだ。それは「ゴールデン・トライアングルに住み込んでケシ栽培を行ってアヘンを作る」という端から見れば突拍子もないものだった。

……というわけで「アヘン王国潜入記」につながっていくわけです。

そうはいっても伝手もなくて困っていたところ、チェンマイでたまたま知り合った「社長」のお兄さんが麻薬王クンサーの部下、クンサーっていったら「アヘン王国潜入記」で行ったワ州の人たちが戦っていた敵じゃん、どうやってここからワ州に行く方につながっていくんだ、と思ったら、そこでビルマ語を覚えてからいったん帰国して(ミヤンマーでは中国系が多いので)中国の大連に行って中国語を習って、その後何がどうなったのか、

「タカノ、ワ州なら行ける」  ミャンマーの反政府ゲリラ、シャン州軍の元総司令官であるセンスックにそう言われたのは、中国からチェンマイへ舞い戻ったときだった。

ということでチェンマイでワ州に宣教にために行っていた牧師さんにワ語を習って、ワ州に行って帰ったあたりで本書は終わっています。

とうてい真似はできませんが、今度タイとか行くときには、せめてあいさつ程度のタイ語は覚えていこう、と思ったことですよ。3月にタイに行ったときは「ありがとう」ぐらいはタイ語で言おうと思いつつ結局最後までThank youで通してしまったしなあ。


  • ※1まあ謙遜して書いている可能性はおおいにあると思いますが。

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