K.Maebashi's blog

最近の読書「銃・病原菌・鉄」


読書記録もなんだか久しぶりですが、それは上下巻の大著を読んでいたからです。
「銃・病原菌・鉄」
原著は1997年、最初の日本語版は2000年、文庫に入ったのが2012年、どうやら私はそれを2013年にKindleで買ったらしい。当時も興味深く読みましたが、12年もたてば内容も忘れているので再読しました。
発端は、「ヤノマミ」とか「ノモレ」とか読んでたら、免疫のない先住民に病気を移さないように苦心する話がたくさん出てきたこと。

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本書は、1972年、政治家の「ヤリ」さんの疑問

「あなたがた白人は、たくさんのものを発達させてニューギニアに持ち込んだが、私たちニューギニア人には自分たちのものといえるものがほとんどない。それはなぜだろうか?」。

という疑問に答える、という形をとっています。つまり、人類の歴史においてヨーロッパ人が南北アメリカやらニューギニアやらオーストラリアやらを征服したがその逆でなかったのはなぜか、という疑問に答える本となっています。本書で挙げられている理由は、だいたいこんな感じ。

  1. ユーラシア大陸にはムギのような栽培に適した作物の野生種が「たまたま」あった(例えば新大陸にはトウモロコシはあったが、これの野生種は今のトウモロコシとは似ても似つかない貧弱なもので、それでもがんばって栽培化したが時間がかかった)。
  2. ユーラシア大陸は東西に長いので、同緯度で似たような気候の中で栽培作物が東西に広がった。それに対してアメリカやアフリカは南北に長いので広まりにくかった。
  3. ユーラシア大陸にはウマやウシといった家畜化に向いた大型野生動物が「たまたま」いた。アフリカのシマウマとかは気性が荒くて家畜化に向かず、アメリカやオーストラリアには大型哺乳類が(カンガルーくらいしか)いなかった。これは石器とかを発展させた後で人類が移住してきたので滅ぼしてしまった?
  4. 東西に長く人の交流もあり、家畜と一緒に暮らしていたユーラシアの人々は感染症にかかったがその免疫も身につけた。
  5. 農業生産を早期に始めたことで人口が増え、直接食糧を生産しない職人とか王とか官僚とかを養う余裕ができた(職人は鉄の武器を作るし、王とか官僚とかに統制された軍隊は他国を滅ぼす力になる)。
  6. 文字を持っていた。


最後の「文字」ですが、本書によれば言葉を「文字」で表すというアイディアは人類史上で最小なら2回、ひいき目に数えても5回ぐらいしか起きなかったらしい。シュメールの楔形文字、中米のマヤ文字はおそらく完全オリジナル、それ以外のエジプト文字、中国の漢字、イースター島の文字はオリジナルかもしれないがよその文字を真似して作ったものかもしれない、とのこと。ちょっと意外に感じます。

ところで、

日本人が、効率のよいアルファベットやカナ文字でなく、書くのがたいへんな漢字を優先して使うのも、漢字の社会的ステータスが高いからである。

と言われたら、日本人の私としては「え? 違うよ」と言いたくなります。すくなくともなにもかもひらがなでかいたらよみやすくなるというわけではない。にほんごにはどうおんいぎごもたくさんあるし。まあそれもちゅうごくからきたことばがおおいからというじじょうもあるのでしょうが。

日本でも昔から漢字廃止運動的なものは時々あって、学生時代梅棹忠夫さんの「知的生産の技術」でひらがなタイプライターのアイディアとか読んだ覚えもありますが、ワープロでかな漢字変換で漢字が打てるようになってからはだいぶ下火になった印象があります。

そういえばこの本には、QWERTY配列のキーボードについて

しかし、信じがたいことだが、一八七三年に開発されたQWERTY配列は、非工学的設計の結晶なのである。このキーボードは、さまざまな細工を施し、タイプのスピードを上げられないようにしている。頻出度の高い文字を(右利きのタイピストに、力の弱い左手をあえて使わせるために)キーボードの左側に集中させ、しかも、上中下の三列に分散させている。こうした非生産的な工夫がなぜ施されたかというと、当時のタイプライターは、隣接キーをつづけざまに打つと、キーがからまってしまったからである。そこでタイプライターの製造業者は、タイピストの指の動きを遅くしなければならなかった。

これも俗説ですよね。QWERTYの配列が決まったころのタイプライターはレバーが絡まるような構造にはなっていなかった。



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