「プロジェクト・ヘイル・メアリー」と「火星の人」を読み返したところで、以前から気になっていた「気圧」について。
アンディー・ウィアーの長編といえば、以下の3作品です。
- 火星の人。火星に取り残された宇宙飛行士がサバイバルする話。
- アルテミス。月面のドームに住んでいる人の話。
- プロジェクト・ヘイル・メアリー。舞台は宇宙船の中。
この3作品について、主人公が暮らす環境の気圧は以下の通り。
- 火星の人。1気圧。
- アルテミス。0.2気圧。
- プロジェクト・ヘイル・メアリー。0.4気圧。
地球の地表の気圧は1気圧ですが、空気のうち酸素は21%、残りはほぼ全部窒素なので、1気圧なければ人間は生きていけない、というわけではない。国際宇宙ステーションなんかは1気圧ですが、船外活動(EVA)する際の宇宙服の中はアメリカ製なら0.3気圧くらいです(ロシアはもうちょっと高い)。これは宇宙服の中に1気圧の空気を入れたらパンパンに膨らんで動けなくなってしまうからですが、純酸素なら0.3気圧でも生きていけるわけです。ただし、1気圧の環境からいきなり0.3気圧にすると減圧症になってしまうので、12時間くらいかけて徐々に0.3気圧に慣らしていく(体内の窒素を抜く)必要がある。なのでよくあるアニメや映画のように宇宙服は着てすぐ宇宙に出られるようなものではないのですが、そういえば「火星の人」ではしょっちゅうEVAやってたよな。
さておき、慣らすのに時間はかかるにしても、長期間滞在するならあまり問題になりません。実際アポロでは宇宙船の中も0.3気圧くらいでした。なので、ISSは1気圧ですが、NASAも今後の火星探査とかではもっと気圧を下げようと考えているらしい。気圧が高ければ高いほど船体とか基地とかを丈夫に作る必要があるからです。
――それにしても、アルテミスの0.2気圧は無理がないですか。
短期間なら0.2気圧純酸素でも生きていけるとしても、長期間暮らすとなるといろいろ問題が出そうです。沸点が60℃くらいまで下がるのでコーヒーがぬるい、なんて話は作中にも出てきますが、さすがに身体にも影響ありそう。そして、上記3作品のうち、一番長期間居住するのは「アルテミス」です。「火星の人」は火星での予定滞在期間は31日間※1、「プロジェクト・ヘイル・メアリー」は片道船内時間で3年くらい、それに比べて「アルテミス」は何しろ移住するので人によっては死ぬまで住む。それが0.2気圧って。滞在期間が短ければ低気圧でもよいかもしれませんが滞在期間と気圧が反比例になっている。
まあそれが作品の面白さを削いでいるとは思いませんが、どうにも気にはなります。
- ※1そこまでの宇宙旅行で片道124日間
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