先日、こんなことを描きました。
本書は、著者の高野さんが、カチン独立軍という反政府ゲリラと一緒に旅をしている最中に、小さな村で食事を出してもらったら、白いご飯と生卵と納豆という食事が出てきた、というエピソードから始まります。毎度思うのですが、エピソードが濃すぎる(この体験自体は「西南シルクロードは密林に消える」という本になっているようなのでまた今度読もう)。
というわけで読みました。「西南シルクロードは密林に消える」。
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高野秀行さんの本はここでは何度か取り上げてますが、以前読んだ「辺境メシ」の中にこんな記述がありまして。
場所はミャンマー北部カチン州。私は現地の反政府ゲリラであるカチン独立軍の兵士や近隣の村人と一緒に、政府軍の目の届かない山岳地帯のジャングルを歩いていた。
「反政府ゲリラ」? なんでそんな人たちと一緒にジャングル歩いているの?
――と誰だって思うでしょう。私だって思いました。
それについても本になってるだろうなとは思いながら、高野秀行さんの本もたくさんあって、どれだかわからなかったところ、上記のとおり「謎のアジア納豆: そして帰ってきた〈日本納豆〉」を読んでたら書名がわかったのでさっそく購入して読んだわけです。
「西南シルクロード」というのは、本書によれば、『四川省の成都を出発して、ビルマ北部を通って、最後にはインドに着く』シルクロードだそうです。中国の西安からもっと北方を通ってヨーロッパに抜ける、いわゆるシルクロードより古く、蜀(古蜀国)からシルクだかキワタノキから作った布だかを運んでいたとのこと。『第二次大戦後、誰も陸路で完全にたどった人間がいない。』そうです。
高野さんがこの旅をしたのが2002年、この頃のビルマ(ミヤンマー)は軍事政権で自由に旅ができる状態ではなかったはずです。以前取り上げたあの日、僕は旅に出たにはこんなことが書いてあった。
今さらどうでもいい話だが、「猿岩石」のユーラシア横断は、すべて陸路で行なわれたということになっていた。アジアを旅する旅行者なら誰でも知っていることだが、もちろんそんなことは不可能だ。ミャンマー(旧ビルマ)の陸路国境は旅行者には開かれていないのである(二〇一三年から通れるようになった)。
ましてビルマの北部のあたりは反政府ゲリラが戦っている。そんなところをどうやって通るのか。
問題はビルマ北部とインド北東部だ。あの辺は長いこと少数民族ゲリラと政府軍の紛争地域になっている。だから、研究者もマスコミも入れないんだけど、オレにはゲリラに知り合いがいる。『行きたい』って言えば、協力してくれるはずだよ。たしかビルマ北部のゲリラは今、政府と停戦中だしな」
ゲリラの知り合い、というのは、アヘン王国潜入記にも出てきた「元シャン州軍リーダー」セン・スックさんらしい。という経緯で、カチンの反政府ゲリラと一緒にビルマ北部を越えてインドまで行くわけです。
ところで、先日の「謎のアジア納豆: そして帰ってきた〈日本納豆〉」は、高野さんが、カチンのゲリラと一緒に旅をしている最中に、小さな村で食事を出してもらったら、白いご飯と生卵と納豆という食事が出てきた、というエピソードから始まります。
食事を見て、私と森は目を疑った。
白いご飯に、生卵と納豆が添えられていたのだ。納豆は見た目からしても匂いを嗅いでも、日本のものと変わらない。出されたスプーンでかき混ぜるとよく糸を引いている。
「何これ?」
「納豆卵かけご飯だ!」
私たちは歓声をあげた。とりわけ、辺境に慣れていない森はカチン料理が喉を通らず、毎食ご飯を残していたから、喜びようは尋常でなかった。
このシーンは当然この本にも出てきますが、
豊かな暮らしのようだが、私たちには納豆と生卵くらいしか提供してくれなかった。
この家は、カチン軍に息子を徴兵に取られて結果死んでしまったので、カチン軍によい印象を持ってなくて歓迎しなかった、という文脈なんですが、それにしても描写が違いすぎる。
四ヵ月というのは私の旅行としては特に長いものではない。だが、今回の旅行ほど内容の濃かったものはない。私の人生の中でも最も高密度な四ヵ月だったと言ってもいいだろう。
ゴールデントライアングルでアヘン作ってた人が「今回の旅行ほど内容の濃かったものはない」と言う。たしかにそれぐらいすごい本です。
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カチン軍ゲリラと一緒にビルマのジャングルを歩くんですが、そこからインドに入ると密入国になります(すでにビルマには密入国してますが)。そこで、当初の計画では、ビルマからインドの国境近くまで行ったらいったん中国に戻って、飛行機でインドに飛んで、またインド側からビルマ国境まで行って、そこからインドのカルカッタまで行く、という方法で「西南シルクロードを踏破した」ことにしよう、ということになっていたのですが、ビルマからインドの国境に近づいたあたりで体力気力を使い果たしていて、
すると、結論は自ずから明白だった。
インド国境を突破する。そして、そのままインドへ入国する。
――また密入国かよ!
しかもカチン軍とインド政府は今は関係がよくないとのことで、そこからはナガ山地のゲリラの力を借りてインドを目指す。何が何だか。
最後はカルカッタにたどり着きますが、ビルマとインドに密入国しているのでパスポートと書類上は中国にいることになっているわけで、まともな方法では帰れない。そこで観念して日本領事館に行ってすべてを正直に話して助けを乞う。
領事館では領事という人がすぐに会ってくれた。私がかいつまんで事情を告げると、その人は仰天した。
「なにぃ? 中国からビザもスタンプもなしにビルマを通ってインドに入国した? どうやって出国できると思ってるの? あなた、これはたいへんなことだよ! 麻薬の密輸なんか問題にならない。救いようがないですよ。三国の主権を侵害した重大犯罪だ! インドで実刑を食らうか、下手すればミャンマーか中国へ強制送還されますよ!」
――そりゃ仰天するよ。
結果的には刑務所に入ることもなく、日本に帰ります。
そういえば「辺境メシ」にはこんなことが書いてあった。インドに謎の怪魚を探しに行こうとして、
ところがそこにはまたしても想像を絶する悪夢が待っていた。降り立ったコルカタ国際空港のイミグレーションで入国を拒否され、そのまま身柄を拘束されてしまったのだ。実は前回、インドに──やむを得ずなのだが──密入国してしまい強制送還されていた。そのときの記録がちゃんと残っていたのだ。
そりゃそうだ。
これは「怪魚ウモッカ格闘記 インドへの道」のことなのかなあ。
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レビューを見ると、この本では結局インドに入国できないようで。うーん。
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