K.Maebashi's blog

フェルミのパラドックスと星新一


ちょっと前、「広い宇宙に地球人しか見当たらない75の理由」というフェルミのパラドックス(この広い宇宙には知的生命体がたくさんいそうなのに、地球に飛んでこないどころか電波も検出できない。みんなどこにいるんだろうね)についての本を読んだとき、そういえば星新一もそんなこと書いてたな、と思い出して発掘して再読しました。途中から読み始めたのだけどなんだかんだ一周して全部読んでしまった。
「きまぐれエトセトラ」

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本書の中の「UFOの警告」という話がそれです。以下例によって『』内は引用。

『そして、たぶんだれも論じていないはずのアプローチで、UFOを考えてみる。生物の進化、さらにさかのぼって地球史の分野からである。』

地球史の分野から、というのは、地球が出来てから現在までの50億年を1日24時間に圧縮する、という話で、夜中の0時から始まって生命の発生が午前7時、ただし午後の8時10分ごろまでは海水中の単細胞生物しかおらず、夜の10時にやっと脊椎動物、11時ころから恐竜の時代が始まって40分で終わり、人類の祖先の出現は11時59分、とのことです。これを1日ではなく1年に圧縮しても、歴史らしきものは最後の1分、ローマ帝国が13秒前、科学の進歩が始まったのが1秒ちょっと前とのこと(50億年を1年に圧縮したなら、1秒は158年くらいですかね)。

『かりに、どこかに地球型の惑星があり、なんらかの方法で、そこへ行けたとする。そこで出会う生命体は、海中の単細胞植物である確率が最大。へたをして、もう少し若い状態だったら、生命発生以前で、水と二酸化炭素だけ。ごくごく運がよくて、恐竜に会える。知的で言語と科学技術を持った生物にめぐり会える比率がいかに少ないかは、地球地球史とくらべてみれば、おわかりいただけるだろう。 』

もちろん、人類が科学技術らしきものを持ってから現在までの期間はごくごく短いのですが、これからこの文明がどれだけ続くのかはわかりません。だから長期安定をめざせ、というのがこのエッセイの主題です。

しかし、『たぶんだれも論じていないはずのアプローチで、』と言われても、「技術文明の存続期間」というパラメータはドレイクの方程式にも出ているわけで、『だれも論じていない』わけはないのだがなあ。ドレイクの方程式は1961年発表とのことで、このエッセイの初出はいつかはわかりませんが、元の角川文庫版が昭和61年初版発行とのこと。この時点で、星新一がドレイクの方程式を知らなかったとも思い難いのですが。

ちなみにドレイクの方程式のWikipediaのページはこちら。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%89%E3%83%AC%E3%82%A4%E3%82%AF%E3%81%AE%E6%96%B9%E7%A8%8B%E5%BC%8F

さておきこの本を一周読むとあらためて思うのですが、この時期の星新一、たいがいアル中ではあるまいか。


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