こちらで紹介した「山手線が転生して加速器になりました。」で紹介されていたので読みました。
https://kmaebashi.com/blog/kmaebashiblog/post/77
「広い宇宙に地球人しか見当たらない75の理由」
フェルミのパラドックスの本です。
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なかなかのお値段なので想定はしていたのですが、なかなかの大著でした。電子書籍だと厚さがわからないのですが読んでもなかなか進まない。
フェルミのパラドックスというのは、「山手線が転生して加速器になりました。」でも「三体」でも出てきましたが、「この広い宇宙には知的生命体がたくさんいそうなのに、地球に飛んでこないどころか電波も検出できない。みんなどこにいるんだろうね」というものです。この本は、このフェルミのパラドックスに対する75の回答を並べたものです。前の版では50だったらしい。
75もあるので全部ここに並べたりはしませんが、章ごとに大きく分類されていて、
3章「実は来ている(来ていた)」
→10件
4章「存在するが、まだ会ったことも連絡を受けたこともない」
→40件
5章「存在しない」
→24件
6章「結論」
→ここは著者自身の考えが書かれた章です
ネタバレしてしまえば、最終章の、著者の考えが上の3つのどこに入るかと言えば「存在しない」になります。
宇宙には星がいっぱいあって(銀河系だけで2000億)地球に似た環境の惑星もいっぱいあるだろうに、我々のような知的生命が他にどこにもいないなんてそんなことあるわけないだろう、当然他の星にも知的生命体はいるだろう、と確かに思ってしまいますが。
考えてみれば地球に生命がいるといっても、どうも地球に生命が発生したのはただの1回だけらしい(だから地球上のすべての生命はアデニン、グアニン、シトシン、チミン(ATGC)の4つの塩基で遺伝情報を伝えている)。生命の発生がそこそこ簡単に起きるなら、この広い地球で何度か起きても不思議でないところ、1回しか起きてないなら「生命の発生」というのはそうめったに起きないことなのかもしれません。本書によればその後の真核生物への進化も一度しか起きなかったようですし(ミトコンドリアを取り込んだ)、35億年前から生命は続いているのに5億年前のカンブリア爆発までは動物の種はそんなにいなかったのではとか、なんなら現在にはたくさんの生物の種がいるのに、その中で電波望遠鏡を作ったのはただの1種ヒトだけではないか、とか。
ヒトは地球で「もっとも進化した生物」ではなく、今地球上にいる他のすべての生物同様、最初の生物から分岐した樹形図の無数の枝の先端のひとつに過ぎない。地球にいるゴリラやチンパンジーだって、このまま何万年もすれば人類と同じように文明を作る、というわけではない。まして異星の生物が、仮にいたとしても、進化の果てに人間のような文明を作るというのは人間中心の考え方にすぎる、というのが著者の考えです。言われてみればその通り、と思えます。
ヒトにしてからが、生物としては縄文時代の人類も今の我々も同じようなものなのでしょうが、ほんのここ100年ばかりの文明はかなり特異です。江戸時代ならその辺の農民や町民は文字も読めなかったのに、今や我々が義務教育から高校大学と育つ中で、また就職してからも、覚えることの高度なこと。俺たちみんなすごい。
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