旅の本を読みたい病が続いている。今度は『無一文「人力」世界一周の旅』
アフィリエイトリンクです。
https://amzn.to/3TOb6wQ
このところここでは旅の本をよく取り上げていますが、「深夜特急」や「何でも見てやろう」は1年あまりの旅、「大事なことは自転車が教えてくれた」は7年半にわたる世界一周の旅ですが、この本の著者の岩崎圭一さんは2002年に日本を出て以来、まだ日本に帰っていません。24年以上の旅ですね。
で、タイトルに「無一文」とあるように、少なくとも旅の序盤は(ほぼ?)無一文で旅をしています。本書の記述を信じるなら、ポケットに160円で旅に出て、しばらく新宿でホームレスをやって(ゴミ箱のコーヒーまみれのハンバーガーを食べたりしてる)、ヒッチハイクで九州まで行って、貨物船に乗せてもらって沖縄に行って帰ってまたヒッチハイクで日本一周して、友人の友人から「君の旅をもっと面白くしたい」と言われて下関発、韓国釜山行きのフェリーチケットをもらう。それで韓国に渡って、知人の韓国人であるシムさんに仕事を紹介してもらう。じゃあそこで稼いで旅を続けるのか、と思ったら、
働くということは、賃金を得ることになる。それを貯蓄して旅行をするのは、私にとってにとってはルール違反だ。そこで賃金はシムさんに受け取ってもらうことに決めた。これなら私の懐に賃金は入らないが、お世話になったシムさんに恩返しができる。
――徹底した無銭旅行なんだな、と思ったら、その後中国では安いとはいえ屋台で食事をしているし、その後にはこんな記述も出てくる。
第一、お金もない。韓国で出会ったシムさんや、萩野さんからもらったお金も、ほとんど底をついていた。
結局シムさんにはお金をもらったのかよ※1! だいたい荻野さんって誰だ。
――こういうところが雑な本です。
途中からは路上で手品を見せてちょっとずつお金を稼いでいます。
この本には、大事なことは自転車が教えてくれたの著者である石田ゆうすけさんが解説を書いています。その中の一節。
紀行を面白くさせる無銭旅行という要素は、しかし要らぬノイズも発生させる。最初から人の親切を当てにする旅はどうなのか、という議論だ。無銭旅行は、明治大正の頃はやむにやまれずという面もあっただろうが、現代は違う。やる気さえあれば旅費は自分で工面できる。それをせずに、他人からもらう食べものやお金を頼りに旅を続けることの是非。長旅をしてきた僕は、そこに無頓着になれなかった。僕自身、現地の人からからの厚遇をたくさん受けてきたからだ。旅人は人の親切を食って生きている。自省を込めてそう思った。旅人は特別ではない。よその地にお邪魔させてもらっている身分だ。謙虚になれ。いい気になるな。ことあるごとに自分をそう戒めた。不遜な長期旅行者をたくさん見た。盗人同然の行為を自慢げに語る旅人もいた。長旅が人を擦れさせる例を少なからず見てきて、己を含めた旅人の独善に、あるいは、僕は少し過敏かもしれない。
常識人だなあ。「旅人は人の親切を食って生きている」は深夜特急にも出てきたフレーズですね。で、
そんな快男児だからこそよけいに、彼の〝親切食い〟への姿勢が、僅かなノイズになっていたのだ。それが手品の話を読んだ途端に消え、視界がすっきり晴れわたった。
本編に戻ると、中国に渡ってからはママチャリを買って自転車旅となり、インドシナ半島をベトナムまで下ってその後タイに行き、マレー半島をシンガポールまで南下して船でインドに渡ろうと思ったが船がない。それでマレー半島を引き返し、チベットからヒマラヤを越えてネパールのカトマンドゥに抜ける。その後インドに行った後、なぜかエベレストに登って(初挑戦で登頂成功)、ボートでガンジス川を下って、またボートでカスピ海を渡って、「ゴット・タレント」とかいう番組にマジシャンとして出て賞を取って、その賞金で大西洋横断用の手漕ぎボートを買ったところで本書は終わります。「文庫版あとがき」によるとその後大西洋横断は無事成功したらしい。
登山経験もないのにエベレストに登るとか、手漕ぎ船で大西洋横断とか、素人が無茶している話に見えるかもしれませんが、エベレストに登る際は登山会社と契約して訓練を受けているし、大西洋横断の「手漕ぎボート」もぼろぼろの木造船ではなくハイテクな船です。無計画でできるようなことではないんでしょうね。
この記事へのコメント:
コメントを書く
名前: