だいぶ昔、Twitterだかでどなたかが勧めていたのを読んだのを再読。
「銭湯の女神」。
アフィリエイトリンクです
https://amzn.to/4gfnz3Y
写真家の星野博美さんのエッセイ集です。
著者は本書のほか、
- 謝々!チャイニーズ(デビュー作)
- 転がる香港に苔は生えない(大宅壮一ノンフィクション賞を受賞)
- のりたまと煙突
といった著書があるようです。
「転がる香港に苔は生えない」という著書があることからもわかるように一時期(英国から中国への返還の頃)香港に住んでいて、その頃、新聞をよく読んだ(香港の人はとにかく新聞をよく読む)とのこと。人気のある「蘋果日報」と、人気がない中国系の「大公報」を読み比べると、
印象的だったのは、九七年七月一日、香港が中国に返還された日の両紙だった。蘋果のトップニュースは、六月三十日の夜に民主派の市民によって行われた反中国政府デモ。一方大公報にはデモの話題は一切なく、かわりに特別カラーページを用意して、「香港の祖国回帰を祝って、中国の各省から香港特別行政区行政長官宛に贈られたプレゼント」の特集を延々繰り広げていた。二つの新聞が、同じ街の現実を語っているようにはとても思えなかった。
本書は、著者が、35歳くらいの頃、風呂なしアパートに住んでいて、その頃のエッセイ集です。
文庫版のあとがきによれば『単行本のあとがきを書く直前に引っ越した』そうですが、その引っ越し先は風呂付物件だったようで、銭湯通いもこのころまでだったのかな。その引っ越しの最中に9.11が起きたとのこと。
とはいえ、出来不出来は別にして、この本は強く印象に残っている。数回にわたるゲラのチェックが終わり、引越しに向けて身辺整理を始めた時、9・11の同時多発テロが起きた。そして引っ越し、あとがきを書き、ゲラの最終チェックを終えると、アメリカによるアフガニスタン空爆が始まった。ダンボール箱に囲まれたまま、来る日も来る日もテレビと新聞に釘付けになっていた。本が出来上がった時、これまでに出した何冊かの本を初めて手にした時のような喜びは感じられなかった。
こんなことをしている場合なのだろうか。
自分があまりに無邪気に思えた。
何度か本を出していても、新しく刷られた自分の本を初めて手にした時ってのは嬉しいものですけど、そのタイミングで9.11が起きていては、ねえ。
まあでもそんな肩ひじ張らずに読むべき本だと思います。
この記事へのコメント:
コメントを書く
名前: