雑記帳 0017(2002/1/6〜)
おくればせながらあけましておめでとうございます。 今年もよろしくお願いいたします。
1/4は有給を取り、怒涛の9連休を実現したのですが... それももう終わりか。早いものよのう。
で、正月には、普段ほとんど見ないテレビなんかも多少は見てたりしたのですが、 各地のデパートでは、今年もやっぱり福袋を売ってたんですね。
うーん... 今の日本、みなさん十分に物欲は満たされていて、 むしろ「モノがありすぎて置き場所に困る」状況なのではないかと、 だから「捨てる! 技術」なんて本がベストセラーになるんじゃないかと 私は思ってたんだけどなあ。
なんか商品を買ってシールとかを集めて応募すると 景品がもらえるようなキャンペーンも、 いまだにちょくちょくやってるようだ。 みんな、本当に景品が欲しいんかしらん。
そういう私も、かつて2回ほど福袋を買ったことがある。 一度は学生時代に生協で、もう一度は、去年東武で。 どちらもお菓子の福袋だった。こういうのは無駄がなくていいけどね。
結局のところ、ああいうのって、福袋を買ってきて開封したり、 シールとかを集める行為自体が「楽しくて」やってるような気がする。 それはそれで別に否定はしないけど、 やっぱりそれで資源が無駄になってゴミが増えて... ってのも考えてしまう。
今更年末の大掃除の話だが、部屋にたまったマンガ本を数十冊、 近所のBOOK OFFに持って行った。2000円ちょっとにはなったかな。
たまにだけど、マンガ喫茶に行くこともある。 マンガは買うと場所を取るので、マンガ喫茶は重宝する。
しかし、どうもマンガ家さんの中には、 BOOK OFFのような「新古書店」やマンガ喫茶に対し、 危機感を持っている人が多いらしい。
だいぶ前、少年サンデーで声明文を読んだんだが、 そのサンデーはもう手元にないので、Webにないかと探したら見付かった。
「21世紀のコミック作家の著作権を考える会」
http://www.k-book.gr.jp/bookclub-syo/21.html
いや、主張はよくわかるんだけど... で、 我々はいったいどうすりゃいいの?
こっちのページによれば、
新古書店とは、 従来の古書店と異なり新刊に近い古書を廉価で売る大規模店の意味で、 急速に売上げを伸ばしつつある。 制作コストを度外視し成立している新古書店は売上げの 75パーセントが粗利と推定される。 著作者権料を含めた制作費、流通費が省かれているからで、 本は新古書店と読者の間を行ったり来たりする構造により 一種の貸本屋的な機能を果たすかたちで成長している。
去る5月15日に、 「21世紀のコミック作家の著作権を考える会」 が新古書店でのコミック売買に反対する緊急アピールを出して窮状を訴えた。 定価に換算すると漫画本で1300億円、 一般書で500億円相当分が、 一年間で新古書店に奪われていると同会は見積もっている。 日本の書籍に市場(雑誌を除く)は年間約一兆円であり、 このままで推移するとその 20パーセント近くが著作権料を支払わない新古書店で売買されることになる。
だそうで、75%が粗利になるようではなるほど確かに「ずるい」気はする。
マンガ家さんが、 一部の売れっ子を除いてあまり儲かっていないのも事実だと思う。 「原稿料なんてアシスタントの給料と家賃ですでに赤字だし、 単行本が売れてやっと生活できるかんじだよ」...って、 参考文献「かってに改蔵」かい(週刊少年サンデー2002年6号)。
私も一応著作権使用料(印税)で収入の一部を得ている人間であるわけですし。
しかし---そうは言われても、じゃあ部屋をうずめているこのマンガの山を、 新古書店に売る以外、いったいどうしろというのか。
可燃ゴミで捨てる? そりゃあまりにもったいない。 古紙回収に出す? 再生紙って需要がなくてだぶついてなかったっけ? 紙の再生でかかる環境負荷について疑問の声もあったはずだし。
先に挙げた「21世紀のコミック作家の著作権を考える会」のページによれば、
新古書店でコミックスをお売りになる前に、
また新古書店でコミックスをご購入なさる
前に、そして漫画喫茶でコミックスを
お読みになる前に、改めて私たちの主張を
お考えいただければ幸いです。
うん、考えた。考えたけど... やっぱりBOOK OFFに売ることにしました。
調査不足ですみませんが、「21世紀のコミック作家の著作権を考える会」 という団体は、 新古書店やマンガ喫茶から 適切な著作権使用料を集めるべく運動してたりするんでしょうか。 それが実現されたら、少なくとも私はおとなしく払うけど、 そうなっていない状況で文句だけ言われても、 こっちもどうしようもないんだってばさ。
あえてキツイことを言えば、 マンガ本の場合、ソフトウエアの不法コピーと違って コピーするのが物理的にかなり大変(コンビニのコピー機で全ページ コピーするぐらいなら、普通買うよな)であるわけで、 読み捨てられるようなマンガは所詮読み捨てられるようなマンガだ、 という言い方もできると思うんだけど、 ただ、「読み捨てられるようなマンガ」が 「買って取っておきたいマンガ」に比べて価値が低いかというと そうとも言えないわけで... 確かに難しい問題です。
そういえば、図書館ってのはどうなんだろう? 私が書くような本はBOOK OFFにはまず並ばないと思うけど、 図書館なら置いてあるところは結構あるようです。 まあ、図書館には私もお世話になったし、文句を言う気はないんですが。
前回、マンガ喫茶や新古書店がマンガ家さんに損害を与えているのはわかるけど、 じゃ、「我々はいったいどうすりゃいいの?」 ということを書いたのだが。
その後、それについて実に明快な回答をしているページを見つけた。 ミステリー作家の馳星周さんのページから、
おれたちは絶滅するか?:
http://www.hase-seisyu.com/note/020203.html
ネタ元は、いつも読んでいる
お笑いパソコン日誌:
http://www2s.biglobe.ne.jp/~chic/pilot.html
既に
過去の分に入っちゃってますが。
上記ページから引用すると、
図書館を利用する人の中には、自分で本を買っても、 家に本を置くスペースがないから図書館で借りるのだという人もいるらしい。 そういう人に、わたしはこういいたい。買ってください。 読んだら、捨ててください。 自分の本が捨てられるのは悲しいが、 存在意義を見失って利用者獲得にだけ突っ走る 図書館を利用されるよりはよっぽどましだ。
「捨ててください」ですか... しかし、そうは言われても、本なんて一度読んだだけでは新品同様でしょ。 これをそのまま捨てるというのはあまりに「もったいない精神」の衛生に悪い。
まあ、私も印税で収入の一部を得ているとはいえ、会社員でもありますから、 本の売り上げが直接生活に密着しているわけではないので、 あくまで無責任な立場からの意見でしかないのですが (私の場合、本書くだけで食っていこうなんてことはとても考えられません)、 小説で食っている人にとっては、 図書館というものが切実に生活を 脅かしているということは理解しているつもりです。
それに馳星周さんの本って(私は読んでないんですが(^^; ) 推理小説なんですよね。 推理小説って一度読んだらあまり読み返さないと思うので、 図書館で貸し出されるというのは深刻であるはず。 前回書いた「読み捨てられるからといって価値が低いとは限らない」 典型例ですね。
しかし、だからといって、捨てろと言われても...
また、馳星周さんのページには以下のような記述もあって、
我々が問題にしているのは、 なにもおれたちの本を図書館に(新古書店に)置くなということではない。 まだ新刊書店で動いている新刊書を図書館に置くのはいかがなものかということだ。 新刊書店で手に入らない物を図書館で借りだすというのが本来の構図のはずだと、 (わたしは)思うのだが、最近の図書館は新刊の、 それもベストセラーばかりを購入する。
この主張からすると、「発売後一定の期間を置いてから図書館に置くべき」 ということになるような気がするのだが、 それはあまり問題の解決にならないように思う。 「お笑いパソコン日誌」でも、 「図書館で読むような人は解禁されるまで待ち続けるような気がしないでもない。」 と書かれているし。
どっちかと言うと、 図書館で本を借りるたびにいくらかの貸し出し料を取って、 著者に還元する方が筋だと思う。
前回も書いたけど、コンピュータのソフトウエアと比べても、 あるいは音楽やビデオと比べても、 本というのは極めて不法コピーがしにくい(割に合わない)メディアなのだから、 こんなものを「レンタル禁止」にすることはないでしょ。
どうも図書館というと「まじめで貧乏な学生さんが勉強のために本を借りるところ」 というイメージがあるような気がするが、 たとえまじめな学生さんが借りるにしても 勉強するのにお金がかかるのはある意味当然だし、 あっちで値段つけて売っているものが、 こっちでただで貸してもらえるというのは変な話、 時間貸しならレンタル料を取るのが当然でしょう。
こういう方向で運動している団体とかってあるんでしょうか。