あまりにもよく言われることなので、今更繰り返すのも何なのだが、 キーボードは、現時点で最も重要な入力デバイスである (WindowsでなくFreeBSDを愛用している私の場合、なおさらである)。 タイピングが快適にできない限り、 マシンのCPUのスペックがいくら良くてもしょうがない。 コンピュータで何かしようとする時、 処理速度におけるボトルネックはほとんどの場合人間である。
それに、キーボードには、慣れというものがある。 普段使っているキーボードと違うキー配列のキーボードを使わなければ ならない時のストレスは尋常ではない。 世の中には、キーボードに向かって5秒ぐらいで、 ぱっぱと切り替えられる人もいるようだが、私はそんなに器用ではない。 いや、実はそれぐらい出来る程度には器用なのかも知れないが、 そーゆー所に我儘を押し通してこそ人間様ってもんだろう。
と、言うわけで... 今回はキーボードについて極々私的な思いを少々。
しかし、ありがちなネタだなあ...
現時点で、私にとっての理想のキー配列はといえば、 だいたい以下のようになる。
そして、X-Windowのコマンドであるxmodmapを用いて、 会社のマシンも自宅のマシンも、この配列に統一してある。
# なんで、Windowsって、この程度のことすら、標準の機能で出来な # いんだろう?
X-Windowって何? という人向けの注:
この配列の要点は、だいたい以下のような感じである。
# ところで... # 実は私は、2の上に"があるキーボードは「JIS配列」だから、日本 # 固有のものだとずっと思っていたんですが... ISO規格で定められ # ているキー配列も、2の上には'"'があるんですね。 # 「ASCII配列」というのは、タイプライタの配列に準じた配列の俗 # 称みたいなものなのでしょうか。よくわからないんですが。
ISO 2530-1975 Keyboard for international information processing
interchange using the ISO 7-bit coded character set - Alphsnumeric area
http://www.pfu.co.jp/hhkeyboard/pfutechreview/reference.html#9
こういうキー配列を好むようになった経緯は、 だいたいこんな感じである。
先にもちらっと書いたが、新人研修で使用したのが、 古いタイプのJ-3100だった(Dynabook以前の奴)。 これのキー配列がJISでなくASCII配列だったことが、 現在まで尾を引いているわけである。
思えば、学生時代に使用したキーボードは、 みんなJIS配列だったのだが、当時はアルファベットはともかく、 記号類はキーを見ながら打っていた。 それが、新人研修で、タッチタイプの練習がカリキュラムに含まれており、 トレーニングソフトで練習したわけだが、級が上がると 記号も出てくるわ、タッチタイプしないととても合格できないわで、 この配列が叩き込まれたわけである。
そして... この頃のJ-3100のキーボードって、 素晴らしくキータッチが良かったんだよね。
# 私は、「素晴らしくキータッチが良いキーボード」というときに、 # 「ゴルフボール」とか、「VT-100」とかの名前を出せる程のキャ # リアはないもんで...
研修が終わり配属されて、SUNのワークステーションを使うことになった。 キーボードは、Type5である。
このキーボード、記号の配列はJISである。しかし、 OpenWindowのバグにより(OpenWindowって何でこんなにバグ多いんだ?) 時々勝手にASCII配列になってしまうことがあったのである。
仕方なく、記憶を頼りにタッチタイプで打ってみると... 研修の成果で、結構打てる。
JIS配列の時は、キートップに刻印があるので、 ついついそれを見てしまう。 ASCII配列だと、記号まで完璧にタッチタイプになる。 格好良いじゃないか。
と、思ったのが間違いだった... のかも知れない。
とはいえ、当時はまだ、OpenWindowがバグるまでは、 おとなしくJISで打ってたんだけど。
その後、色々あって、メインの端末としてX端末を使うようになった。 某社のOEMで、製造元は高丘製作所だったかな。もはやよく覚えていないが。
このX端末がまた、非常にキータッチが良かった。 そして、ASCII配列であった。当然のことながら、CtrlキーはAの隣りにあった。
このX端末、私は非常に気に入っていたのだが(すげー遅かったけど)、 出会いは別れの始まり、別れも愛のひとつ、人は自分と同じ人生を歩めない、 だから出会いがあれば、必ず別れはやってくるものである。 いくつかのキーがチャタリングするようになり、 再びSUNのType5を使うことになった。
このような経緯でSUNのType5に戻ったわけだが、 しばらくASCII配列に慣れた身としては、 今更JIS配列はどうも馴染めない。しかも、端末としては、 会社ではDynabookが多かったし、Dynabookは当時はASCII配列だった。
そして、さすがにその頃には、へなちょこプログラマである私も、 xmodmapが使える程度には成長していた...
××××に刃物である。 「記号まで全部タッチタイプなんて、格好良いじゃないか」 という意識も手伝い、xmodmapで配列をすっかりASCII配列に変えてしまった。 それだけならまだ良かったのだが、この時、キーボードの右の方の配列が、 X端末とSUNとで、ちょっと違っていた。
X端末のつもりで '|' や '\' をタイプすると、 リターンキーを叩いてしまう。そして、'`' や '~'をタイプすると、 BackSpaceを叩いてしまう。 そして... 考えてみると、Ctrlキーをよく使う私は、 リターンキーもBackSpaceもほとんど使っていなかったのである。
というわけで、ちょっとxmodmapを使えるようになって 増長した私は、リターンキーとBackSpaceを潰すという 暴挙に出てしまったわけである(困ったもんだ)。
いや、LaTeX使うには、'\'のキーがでかくて非常に便利なんだけど...
会社では、主にSUNのワークステーションを使っている。 キーボードは、SUNのType5である。 前述したように、こいつのキー配列は、私にとっての「理想の」 キー配列に合わせてある。
他人のコーディングを参照していて、 どうしても分からんので書いた本人呼んできて、 「あ、バグだ、直しますよ」と言ってその場でちょちょいと キーを叩こうとした人が驚愕するのは言うまでもない。
ワープロ用に、Windows95も使ってはいるが... こっちはキー配列は変えてない。 Shiftを押した状態まで簡単にカスタマイズできるような ユーティリティが見付けられなかったし、 どうせOfficeに翻弄されて、 タイピングのスピードはボトルネックにならないし、 何よりも、このマシン、他の人が使うこともあるもので...
それにしても、Windowsのアプリケーションって、 Ctrl-HやCtrl-Mにショートカットが割り当てられていることが 多くて非常に困る。 まあ、違う環境なのだから、Ctrl-HやCtrl-Mが使えないなら まあ諦めもつくが、日本語変換のFEPだけCtrl-Hが効いたりするので、 わけがわからん。
そうそう、今会社で使っているPCはデスクトップだが、 以前はノートだった。 その時、こんなふうにカーソルキーがシフトキーの隣りに でしゃばって来ていて、右シフトを押そうとすると カーソルキーを押してしまう。 さすがにこれは不便なので、'↑'のキーにもSHIFTを割り当て、 カーソルキーは、その下の4つのキーを使用して viバインディングにしていたものであった。
これには、DOS/V Magazineで見た、 keylayとかいうシェアウェアを使用したのだが... レジストしたんだけど、今は使ってないなあ。 Shiftを押した状態でのキーバインドを変更できないのが、 致命的であった。
自宅PC用のキーボードには、キー配列だけでなく、 もうひとつの要因が重要となる。「小さい」ということである。
何しろ、私の机の上は散らかっている。 こんな所に、使いもしないテンキーなんか付いたキーボードは載せてられない。 というか、散らかってなくたって、たいてい家庭でPC用に使っている机なんて、 キーボードを置いたら、横に本を置くスペースってないんじゃないか?
# 「こたつ」は例外か...
というわけで、ミニキーボードが必要である。
不思議なのだが、多くのミニキーボードって、 なんでステップスカルプチャでもない真っ平なところに、 ストロークのムチャクチャ浅いキーが並んでるようなのばっかりなのだろうか。 まさか、ノートPCから剥がしてきたわけでもあるまいに... いや、部品の流用なんかはしてるのかなあ。
で、ちゃんとしたキーを持ったミニキーボードを探し回ることになるのだが... これが、ない。本当に、ない。驚くべきことに、全然、ない。
それでも色々探し回って、買ってみては失望し、 今使っているのは4枚目である(PC買った時に付いてきたのを含めれば、 5枚目になる)。
私は、キータッチについては、それほどうるさいつもりはないのだ。 PC買うと付いてくる、あのスカスカのキータッチで充分なのだ。 にも関らず、何故かミニキーボードになると、途端に妙に反発の強い、 変なタッチになるのはどうしたことか。 いや、私の方が偏っているのかも知れないが。
メカニカルキーボードっぽく(現在の「メカニカルキーボードっぽい」 キーボードの大半は、本当の意味でのメカニカルキーボードではないそうである)、 シャカシャカと音がするキーボードを好む人は多いようだが、 あのシャカシャカいう音、自宅で深夜に使うには、 どうも気になってしょうがない。 確かにそういうキーボードのキータッチは非常に良いと私も思うのだが...
現在私が自宅で使用しているのは、あの有名な、 Happy Hacking Keyboard IIである。
PFUのHappy Hacking Keyboardのページ: http://www.pfu.co.jp/hhkeyboard/index.html
キーボードを探すのに疲れ、まあ、最低限の条件さえ満たせばいいや、と、 3万円近い大金を投じたのだが(他のキーボードと比べたらひと桁高い)、 キータッチについては、やはり満足できない。 この、「ぼよん」とはね返ってくる感蝕、なんとかならんもんか。
Happy Hacking Keyboardは、正統派UNIXハッカー向けのキーボードらしい。 そして、キー配列には、確かに相当のこだわりが見られるのだが、 UNIX(X-Window)なら、キー配列なんて造作もなく変更できるのだし、 それほどキー配列にこだわりのあるユーザが、 まさかキートップの刻印を見ながらタイプしているわけがあるまい。 どっちかといえば、配列みたいな「どうにでもなる」ことよりも、 キータッチの方に重点を置いて欲しかったなあ、と思うのである(偉そうだな)。
いっそ、キートップなんて、真っ白にしてしまって、 ユーザがそれぞれマッキー極細で文字を書いたらどうだろうか (あるいはシールを貼るとか)。 そういうキーボードって、市販されていないのだろうか。
# 大昔、PC-8001でグラフィック文字を打つ時、キートップに刻印が # なかったんだよな。キートップの前面に貼り付けるシールが市販 # されていたような気が...
と、いうわけで、使うマシン使うマシンのキー配列を 「理想のキー配列」に書き換えて、 周囲からは変な目で見られながらもひとり悦に入っている私であるが...
# でも、さしてタイピングが速いわけでもないのであった。
趣味でしかコンピュータに触らないならともかく、 これでも曲がりなりにもプロのプログラマをしていると、 例えば客先などで、 カスタマイズしてないキーボードを触らなければならないこともある。
はっきり言って...
である。
はまる要因は色々あるが(当たり前だ)、 致命的なのは、シェルでパイプを使うため'|'を押そうとして、 リターンキーを押してしまうことである。 パイプで繋いで、何らかの処理をしてから表示する筈だったものが、 端末エミュレータの画面にどばーっと流出してしまう時の悲しさといったら...
こういうのを、世間では、
と言うんですな。
というわけで、真似しない方が賢明だと思います...
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